ECUチューニングの効果とは?本当の意味を知る
監督の由元です。
まず始めに大切なことをお伝えしたいと思います。ECUチューニングそのものがパワーを上げるわけではありません。パワーを生み出すのは、あくまでエンジンです。
「ECUチューニング」と聞くと、多くの方がまず「パワーアップ」を思い浮かべるのではないでしょうか。
確かに、エンジンの制御を司るECU(エンジンコントロールユニット)を最適化することで、加速感が変わったり、走りがスムーズになるという話があります。
ECUの役割とは?
ECUは、エンジンに取り付けられたセンサーから情報を受け取り、燃料噴射量や点火時期、アイドリング回転数などを制御しています。
つまりECUは、エンジンの性能を「どう引き出すか」を決めるもの。料理でいう調味料のような存在です。
ECUが無かった昔(40年くらい前でしょうか)キャブレターという燃料気化器で燃料をエンジンに送り、点火時期は、ディストリビューターに内蔵されたガバナー進角装置とバキューム進角装置で、回転上昇やエンジン負圧に伴う進角をしていました。
その役目を担っているのがECUです。
キャブやディストリビュータも、機械時計や真空管アンプのような、機械のすばらしさを感じることができますが、エンジンに合わせた細かいセッティングが出来ないことが課題でした。ECUの登場により、エンジンの運転状態に合わせた細かいセッティングができるようになりました。
ですので、ECUが付いてるノーマルのエンジニンはすでに最適化されています。
純正ECUに「安全マージン」があるってホント?
ECUチューニングというと、純正ECUは「安全マージン」があるから、そこを詰めるとか最適化することでパワーが上がる、という話をよく聞きますが、正しく理解できていますか?
少し考えてみましょう。
国産車で馬力の自主規制があったころは、メーカーがあえて性能を落としていることはあるかも知れませんが、
メーカーも他社との競合の中で、少しでも性能を上げたいはずでは?
そもそも安全マージンって何?
ネット等で調べると、パワー上げすぎるとノッキングが起こるから、純正ECUではノッキングしない様に点火時期を下げていたり、ターボであればブーストを抑えているとのこと。つまりノッキングに対するマージンらしいです。
そこをノッキングするギリギリにするとパワーが上がるという理屈なのですが…信用して大丈夫ですか?
ノッキングのしやすさは個体差や環境によって変わります。それによって出せるパワー、ベストなセッティングは変わりますが、その辺の情報はあまり無いように感じます。
環境の変化とは、例えば、外気温度、湿度、大気圧、あと燃料の質や温度、水温、油温、吸気温の変化等のこと。環境によって安全マージンも変化するという情報がないまま、「ECUチューニングの効果は、、、」という偏った情報だけたくさんあるように思います。
例えばノッキングしにくい湿度が高めな日にセッティングして、湿度が低い日に過酷な運転をすれば、エンジン壊れます。
また、今時の車はノックセンサーや、環境を検出するセンサーがたくさんあるし、学習制御等で勝手に点火時期や燃料噴射量を最適化する等、自動でチューニングしてくれるので、ますますECUチューニングに疑問がわきませんか?
単純にノーマルのECUに安全マージンがあるという考え方では足りないということが理解いただけたでしょうか?
チューニングECUは、ノッキングしにくい季節や、あまり激しく走らない街乗り用。
ノーマルECUを峠やサーキット用、みたいな使いわけなら、まだしっくりきます。
ECUチューニングの本当の効果
ではECUチューニングの目的は?「安全にパワーを引き出すこと」や「ドライバーの目的に合わせた制御を実現すること」です。
レースの現場なら、エンジニアが「今日は気圧も低いし湿度も高いから、セッティングをこうしよう」というのをECUでやるのです。
もちろん、エンジンハードに対応したセッティングも必要になります。
吸気系や排気系を変えれば、厳密には空燃比や点火時期を合わせ直す必要があるし、K4GPを目的にするなら燃費を重視したセッティングにする等。
こうしたハード変更や目的に対しての最適化を行うことで、エンジンが持つ性能を正しく発揮できるようになるのです。
つまり、ECUチューニングの効果とは、「エンジンを、環境や目的に合ったベストな状態に導くこと」にあります。
繰り返しになりますが、ECUチューニングでエンジンの性能が上がることはありません。
上がるとしたら、その時のエンジンハードや環境に合ったベストなセッティングが出来た、という表現が正しいと思います。
まとめ:ECUはセッティングのツール
チューニングECUがパワーアップパーツのごとく扱われることが多いですが、由元ガレージでは、ECUをドライバーの理想を形にするセッティング用のツールとして考えています。
ですのでECUをいつでも自分でいじれる環境でないと意味がありません。
そのため、断然フルコン化をお薦めしています。
料理と同様に知識や経験の蓄積も必要です。
ECUチューニングを通して、それら実現するのが、私たちの役目です。
由元ガレージでは、フルコン化の学習にも最適な自作可能なECU Speeduino をショップにて販売しています。
自分で作る楽しみ、そして走りを自分の手で育てる楽しみを、ぜひ体験してみてください。

