Speeduino ECUを導入したきっかけ

すべては、そこから始まった

耐久レースは、ただ速いだけでは勝てません。燃費とパワーを両立させる必要があります。
そのために必要なのが、ECUチューニングです。

由元ガレージは長年、ホンダビートでK4GPに参戦してきましたが、2023年から、481号車、482号車の2台体制になり、もうひとつECUが必要になりました。

もともと参戦していた481号車にはMoTeCのECU を使用していました。

2代目のECUはどうするか、MoTeCかLINKか、最新機種か中古かどれも高性能なECUですが、安いグレードでも20~30万、中古でも10万円くらいと、やはりコストの壁がありました
「また高価なECUを入れるのか?」

そう思っていたとき、ふと、思いました。
「いまどきArduinoでECUを作ってる人とか、いるんじゃないか?」
(※Aruduinoとは電子工作向けのマイコンボード)

調べてみると、なんといました。オーストラリアのジョシュ・スチュワートです。
彼が立ち上げたオープンソースの思想で開発されたECU、それが「Speeduino」です。

オープンソースとは、一般に技術を公開することで誰でも検証、理解、開発ができるという思想。

実際、公式ホームページやGitHub には、基板データ、回路図、Arduino のスケッチ、マニュアル、すべてが無料で公開されていました。

「こんな世界があるんだ…」正直、衝撃でした

内容を理解するのに、もともと好きでやっていた電子工作の経験や、MoTeCを扱っていた経験が活きました。
公開されているデータやマニュアルを見る程に期待は膨らみ「仮に失敗しても損害は数万円の部品代だけ」、そう思って、作ることにしました。
基板を発注し、部品を実装し、エミュレータで信号を入れると——

本当に動いた
オシロスコープで、インジェクター信号や点火信号が出ていることを確認。

そして車に接続。
まだ調子は悪いけど、ブスブス言いながら、それでも——
本当にAruduinoでエンジンがかかった
あの感動は、今でも忘れられません。



その後、謎の失火や通信不良等、トラブルもあり、全て順調にいったわけではありませんが、諸々を解決することでSpeeduinoを扱うスキルも上がり「普通に走る」レベルへ到達
2回目の感動でした。

こんな素晴らしいECUがなぜ日本で広まっていないのか?
なぜECUチューンよりもアルミテープチューンの投稿の方が多いのか?
海外と日本のDIYチューニング文化の差に課題を感じ、布教活動を始めました。


その後は、ブログを見た方から連絡をいただいたり、少しずつですが広がっている気がします。

ECUを変えると、ここまで変わる

一度エンジンが順調に回ってしまえば、あとは他のフルコン同様にセッティングを詰めるだけです。
由元ガレージビート482号車は、エンジンはノーマルながら、Speeduino ECUを投入することで大幅な燃費アップを実現し、レースへの参戦を果たしました。
482号車は吸気温度センサの代わりに可変抵抗を取り付け、走行中にドライバーが燃調できる簡易燃料ミクスチャーも備えています。
また、自由にセッティングできることを活かし、カーボンニュートラル燃料を使ったレースにも挑戦することができました。

一人ではできないことも、繋がればできる

Speeduinoの本当の価値は、性能だけではありません。
繋がれること。

「この車に使えるのか?」「同じ構成で動かしている人はいるのか?」
今はSNSで、サポートする人、サポートを求める人、情報を共有する人、
世界中の人と繋がれる時代です
海外にはSpeeduinoで数万人が在籍するコミュニティも多く存在します。
その中で質問し、経験者が答えてくれます。
私自身も温度センサAD変換用のカスタムファイルの作り方をコミュニティで教えてもらった経験があります。(翻訳ソフトに感謝)

私たちは、ECUを売るだけではありません。

フルコンというと、ハードルが高いと感じる人も多いと思います。
その理由のひとつが高価であること。そこはSpeeduino ECUで解決できます。
私たちは、新しく始める人をサポートする。経験者と初心者を繋ぐ。情報を循環させることを大切にしています。その上でSpeeduino 日本向けディストリビューターとしての役割を担っていきます。

特に、日本では、Speedunoの利用者も少なく情報も少ないです。
我々が扱える車種も、まだ限られています。でも、増やしていける。
「この車で動いた」、「この構成でいけた」、日本でも、そんな発信をしてくれる方が増えれば、DIYチューニングの世界がもっと良くなると思います。

Speeduinoは、完成された製品ではありません。
無料で技術情報が公開されているオープンソースECU。
一緒に作り、広げていくプロジェクトです。