2026冬のK4GPレポート ! カーボンニュートラルモータースポーツへの挑戦!
新たなチャレンジ
こんにちは、監督の由元です。
ついに優勝しました!
…といっても、今回はいつも競合がひしめくGP-2クラスではなく、カーボンニュートラル燃料(以下CN燃料)や未来の技術を装備した車両が参加できるGP-Mクラス。参加3台の中での優勝です。本当は総合順位が40台中3位というのが嬉しい。
GP-Mクラスへ参戦する趣旨は、過去のブログで記載したとおり。
30年前に生産されたホンダ・ビートに、当時は存在しなかったCN燃料とオープンソースECUを組み合わせるという、ロマンあふれる企画です。
とはいえ、走っている姿はあまりにも“普通”。
何も知らずに見ている人には、ただのビートにしか見えなかったかもしれません(笑)
見た目で伝わる工夫も、今後は必要かもしれませんね。


4時間耐久という選択
毎年、冬は7時間耐久が開催されますが、今年は
・2/21(土)4時間耐久
・2/22(日)7時間耐久
の2本立て。
今回、我々は4時間耐久に出ることにしました。
4時間耐久は7時間に比べて規模は小さめですが、
・車両搬入〜レースまで1日で完結
・費用負担が軽い
・台数が少なく走りやすい
というメリットがあります。
7時間では頻繁にあるSCや赤旗もなく、レース進行は非常にスムーズでした。
もちろん、燃費戦略の駆け引きは健在。
そして正直なところ…CN燃料は、なかなか高価です(笑)
7時間燃やし続けるのは、少し勇気が要ります。
ドライバーは、田村章太、芝叔和、リザーブドライバーとして田村章彦。
経験豊富な3名の布陣で臨みました。
ETS燃料とSpeeduino ECUセッティング
CN燃料については過去ブログでも記載したとおり、特性は一般ガソリンに近く、大幅な変更なしでも走行は可能です。
日光サーキットでの事前テストでは、一般ガソリンとほぼ同等のラップタイムを記録。
しかしレースに向けて、CN燃料専用にマップを全域再セッティングしました。
その結果、フィーリングも燃費も向上し、良い成果が得られました。
課題は揮発性の低さ。
テストの段階からエンジンが冷えている時の始動時にプラグをかぶらせることが何度かありました。
今回は開発の時間が限られており、暫定策として点火プラグの熱価を下げたり、事前に暖気するなどの対応をしましたが、ECUのセッティングで始動制御や低水温補正を詰めれば改善はできるはずです。
レース本番で使用できる燃料量は、通常は主催者から指定されるのですが、GP-Mクラスは独自に決めます。
CN燃料は、一般ガソリンに比べてエネルギー密度や理論空燃比で不利な面があるため、GP-2クラスよりは少し多めに燃料使わせてもらう申告をしました。
レース当日 2/21(土)
7:30ゲートオープン 車両搬入
年によっては氷点下や雪も懸念される標高の高い富士スピードウェイですが、この日は晴れ。
雨の心配もなく、2月とは思えない暖かさでした。
しかし、朝からトラブル、懸念していたことが起こりました。
トレーラーから車を下す際、エンジンはかかったのですが、1番気筒がプラグかぶりで失火。
車をトレーラーから降ろす前にプラグ交換と暖気で、ようやくピットへの車搬入することができました。
10:00~12:00 車検・コースイン
GP-Mクラスに初参加ということもあり、車検がありましたが、何事もなく無事合格。
そして12:30頃コースイン。
エンジンが冷えてる時の始動不良が懸念点でしたので、きっちりと暖気してからコースインしました。
GP-Mクラスのグリッドは、規定により最後尾です。これは仕方ない。
13:00 レーススタート!
普段は気にしませんが、今回最大の不安は「ちゃんと始動するか」でした。
ピットモニターで走り出す姿を確認し、まずは一安心。
レース展開は、ほぼ最後尾スタートながら、急成長中のドライバー田村章太が良い走りを見せます。
どんどん順位を上げ、序盤から上位争いに食い込みます。
14:00 緊急ピットイン ハードトップが外れそう
安定したタイムでラップを重ねていた最中、突然トラブル発生。今回、新たに投入したハードトップが取れそうになり緊急ピットイン。
由元ガレージの技術力、現場力を駆使し、早急にガムテープで屋根を固定してピットアウト。
タイムロスはあったもののクラストップ、総合4位をキープ。
エンジンは好調で、更に上位を狙います。
15:00 ピットイン 給油とドライバーチェンジ
給油は通常、サーキットのスタンドで行いますが、GP-Mクラスは特別の給油エリアで、自分達で給油します。
今回、携行缶とジョッキで給油量を図りながらの給油が必要であったため、給油でも大幅にタイムロスがありました。
これに関しては分量がわかるタンクから給油する等の改善の余地ありです。
給油後に、ドライバーは田村(章太)から芝に交代。
総合順位は12位まで後退しましたが、芝のドライビングで巻き返しを狙います。
16:00 レース終盤
ゴールまで燃料が持つかどうか、各チームの駆け引きが始まる時間。
クラストップ、総合4位の位置まで巻き返しましたが、ここまでレース中にSCや赤旗が出なかったことは想定外。そのため、この時点で計画より少し多めに燃料を消費していました。
ここで少しペースを落とすことを決断、あとは周り車のペースがどうなるか見守ります。
その後、トップの車がリタイヤし総合3位に浮上、一方で、一つ後ろの車が、猛追してくるハラハラドキドキの展開に。
ベテランドライバーの芝がエンジン回転を低めにセーブしながらも、タイムの落ちは最小限に留めながら走ります。
17:00 ゴール! クラス優勝!総合3位を獲得
その後、1位と2位の脱落はなく、かつ後ろの車からは逃げ切り、クラス優勝、総合3位でゴールするこができました。
この結果はとても嬉しいのですが、総合4位まで1周差に入る僅差でした。
ハードトップ外れや、給油のロスタイムさえなければ総合優勝も狙えたかもしれません。そんな悔しさもあります。

外れそうになったハードトップをガムテ-プで修復


まとめ
協力いただいた皆さまに感謝
K4-GPにGP-Mクラスを作っていただいた主催者、燃料供給いただいたモトリティ様を初め、協力いただいた皆様に感謝いたします。
今回、2つの目標を達成できました。
・昨年夏に果たせなかった、SpeeduinoECUでの耐久レース完走。
初めてエンジンを回せたところから1年、開発も進みました。
・GP-Mクラスでの上位完走。
今後GP-Mクラスを盛り上げたいという想いがありました。
お蔭様で、レース後に早速、ECUに関する問い合わせや、GP-Mクラスが気になるといったコメントがあり、関心は少し高まったと思います。
新しいチューニングの世界を
今回、我々がカーボンニュートラル燃料でレースに出ようと思ったきっかけは、オープンソースであるSpeeduino ECUにもFlex燃料制御が備わっていることでした。
海外では、SpeeduinoのようなオープンソースECU自体も普及しているし、E10やE85、E100といったエタノール燃料も一般的です。エタノールチューニングなども決して特別なものではありません。そんな海外の燃料事情の変化の速さに感心していました。
一方、日本はどうでしょうか?
オープンソースECUが普及していないのと同様に、本格的はバイオ燃料は殆ど普及していないのが現状です。
コンマ1秒を削るモータースポーツや、派手な外観、走りを追求するカーライフも楽しいですが、これだけEV化の波やカーボンニュートラル化が騒がれている中、誰もGP-Mクラスに参加しない。アルミテープチューンが流行る。
日本のモータースポーツ業界やチューニング業界はこのままで大丈夫なのだろうか。方向転換も必要なのではないか。
世界では当たり前に進んでいる技術が、日本ではまだ広がっていない。責めたいわけではありません。ただ、「勿体ない」と思ったのです。
そんな想いから、微力ながらも現場で示したいと考え、今回GP-Mクラスに参加しました。
いままで、バイオ燃料といえばエタノールが中心で車両や設備の対策が必要でしたが、今回利用した、燃料Renewa Braze Nihon R100はエタノールの少ないバイオ燃料であり、車側の燃料系の材質変更も不要、普及し始めたのもここ数年という、とても未来を創造させてくれる燃料でした。
まだ課題はあるようですが、期待しています。
世界には10億台以上の内燃機関車が走っています。それをすべてEVに置き換えるには、どれだけの時間と資源が必要でしょうか。
旧車をはじめ、今ある車を活かしながらカーボンニュートラルに近づけるという道もあるはずです。
今回の総合3位という結果は、「エンジンは終わらない」という小さな証明の一つになったと思っています。
エンジン音を残しながら地球にも配慮する。もしこの挑戦に少しでも共感していただける方がいるなら、それが今回GP-Mクラスに参加した最大の成果です。
通常のチューニングやドレスアップ、レースももちろん楽しいですが、少し思考を変えてGP-Mクラスを盛り上げませんか?4時間耐久ならコストも抑えられます。
K4GP GP-Mクラスへの参戦にあたり、日本の代理店である株式会社モトリティ様にご協力いただきました。
モトリティでは、この燃料だけでなく、E85燃料など、いろいろな種類のCN燃料を取り扱っています。
CN燃料に合わせた燃料セッティングは、Speeduino ECUを使用。
今回のレースでCN燃料の性能を存分に発揮できるECUであることが証明できました。
「自作できるECU」「学べるECU」という価値だけはでなく、CN燃料との組み合わせによって、「旧車を未来につなぐECU」という新しい価値が生まれます。
今後、更に開発を進めて総合優勝を狙います!

