ECU書き換え vs フルコン
こんにちは。由元ガレージ監督の由元です。
今回は、良く聞かれる、ノーマルECU書き換えとフルコンどっちが良いか?という問いにお答えします。
ECUチューニングは、「ECU書き換え」や「スポーツECU」というノーマルECUのデータを書き変えるパターンと、「フルコン」と言われる、ECUそのものまったく別のものに変えるパターンの2つに分けられます。
どちらが良いか?
チューニング効果だけでなく、書き変えのし易さの観点からも比較したいと思います。
極端な話、どちらが良いかは「望む仕様やセッティングを実現できるかどうか」によります 。
以下の記事が、選択する際の参考になれば幸いです。
■ ノーマルECU書き換えの「手軽さ」と「限界」
「ECU書き換え」や「スポーツECU」は、フルコンより手軽なイメージはあります。
書き変えられたECUを取り付けること自体は簡単であり、見た目も変わらないため、エンジン側のシステム(センサー類やデバイス)がノーマルで、且つ、信頼できるショップ等、書き変えできる環境があれば、ハードルは低いです。
ノーマルECUの書き換えは、基本的には純正の制御仕様の範囲内でデータを変更するだけです。つまり、純正のロジックでの調整にとどまるという制約があります。(例外も稀にありますが)
エンジンチューンの例としては、吸・排気系や圧縮比、ボアアップくらいのライトチューンに合わせることは可能です。
ECUを正しく書き変えができる前提ですが、例えば、燃料を少し濃くする、点火時期をずらす、回転リミッターを変更するといった軽い調整なら、ノーマルECUの書き換えで十分対応できるでしょう。
■ フルコンの強みは「制御の自由度」と「拡張性」
フルコンは、モータースポーツやハードなチューニングにも対応でき、汎用性があるため、多くの種類の制御が初めから搭載されています。
ほんの一部の例ですが、スイッチ入力で数種類の補正マップ切り替えたり、補正テーブルの選択、点火カットor燃料カットの選択、レブ・ローンチコントロール、フレックス燃料(E85 & ガソリンの混合率対応)など、モータースポーツ向けや、様々なエンジンに対応した機能が豊富に利用可能です。どのような機能が入っているかは、ECUの種類やグレードによります。
必要な制御を選び、ゼロから構築できるこれこそがフルコンの最大のメリットです。
色んなエンジンにも対応できるように設計されており、エンジン側のシステム(センサー類やデバイス)まで自由に選べます。
例えば、エンジン本体がノーマルでも、前述した機能を使ったり、エアフロセンサーレスでDジェトロ化や他車センサーの流用等も可能。ノーマルECUの制御ロジックだけでは難しい大幅な排気量アップやターボ可等のハードチューンにも簡単に対応できます。
■ ノーマルECUを書き換えることは簡単ではない
「ECU書き換え」や「スポーツECU」は、フルコンと比較して、車両への装着(配線作業など)という観点では手軽だと一般に言われますが、それはECU内部のデータを書き換える作業の難易度とは別問題です。
電子工作などでマイコンを触った経験のある方にとって「マイコンを書き換える」という行為は、ハードルが高くないかもしれません。
しかし、それはあくまで汎用マイコンの場合の話です。自動車用ECU(エンジンコントロールユニット)の内部もマイコンですが、技術的には書き換えは可能であるものの、一般ユーザーが自由にアクセスし、書き換えられるようには作られていません。むしろ、自動車メーカーは安全性と法規制(排ガス規制など)を守るため、ECU内部のデータが改ざんされないように、厳重に保護しています。今の車はインターネット経由でメーカーがECUを監視できる仕組み(OTA)等も入っています。今後ますます書き換えは難しくなるでしょう。
ECU書き換えは自分で出来るか?対象の車の年代によって色々な方法がありますが、書き換えには、正規ディーラー等でしか扱えない特殊な機材が必要であったり、アクセス用のパスワードやIDなどを突破しなければならない場合もあるかもしれず、もちろんやり方は一般には公開されていません。
車種によっては書き変えツールが売っていたりしますが、ホントに書き変えられるのか…もし失敗したら…明らかな実績があるものであれば良いかもしれませんが、生半可な知識でやって書き換えに失敗し、エンジンがかからなくなって、元にも戻せず、ECUが終わる、という高額な勉強代を払うことがないように注意してください。
しかしながら、ECU書き換えを行っているチューニングショップは多数存在します。マイコンを特定してデータを引き抜いて独自に解析するのか、特殊な機材や情報ルートがあるのか、どうやってアクセスし、どこをどう変えているのか?その具体的な方法は、各ショップ独自の技術であり、詳細はわかりません。その技術が価値となっています。
何が言いたいかというと、
・ECU書き換えは難しく一般的には不可能(凄い技術や知識が必要)。
・中身が見えないからショップを信頼するしかない。
ということです。
ノーマルのECU書き換えを例えるなら、ペットボトルのミネラルウォーターを一度あけて、どうやってるか秘密だけど「ミネラル増量したウォーター」として再販するような、そのくらいの分かり辛さだと、私は思っています。未だに、効果がある、効果がない、という両意見があるのも納得できます。
とはいえノーマルECUの書き換えは技術的には可能ですから、正しく実行すれば、所望のセッティングにできますし、フルコン化には必須となる車体側の配線作業や車種毎の設定がいらないとか、OBDやクルーズコントロール、トラクションコントロール等のエンジン以外の制御もそのまま使えるメリットはあります。
ただ、自分でエンジンのチューニングをしたいという方にとっては、中身が見れないというもどかしさはあります。
■ 一方、フルコンはどうでしょう?
フルコンは、エンジンに合わせて設定し、常に書き変えることを前提としていますので、データの書き換え方法も、全てマニュアルで公開されており、誰でも、専用のPCのソフトでデータも見れるし簡単に書き換え可能です。
自分でPCを使ってセッティングすることもできるし、変更の仕方、何をどう変更したか、すべてが明らかです。
それがフルコンといわれる汎用ECUです。
取付けに関しては、ECU書き換えと比べて、車体への取付の際にかなりの量の配線作業が必要になったり、スタンドアローン接続の場合ノーマルにはあった制御が無くなることもありますが、人気車重であれば、車重毎のコネクタが付いておりポン付け出来るプラグインタイプと言うものもあるし、ピギーバックと言われる接続方法で、変更がいらない制御はノーマルECUに任せる方法もあります。
フルコンは、書き換え方法やデータがオープンですので、如何にECUの機能や制御を使いながらセッティンするかということに集中できます。
エンジンのチューニングを専門ショップに任せる方はさておき、自分で勉強しながらエンジンチューニングしていきたいという方は、フルコンしか選択肢はないでしょう。
以上のことから、由元ガレージは断然 フルコン化を推奨しています。
フルコン化で何ができるか?は別の記事でも紹介しています。
日本では、MoTeCやLINKが有名ですが、我々、由元ガレージが実際にレースで使用している Speeduino も素晴らしいECUです。
GitHub上に回路図やソースコードまで公開されており、心臓部となるマイコンは電子工作の定番マイコンボードArduinoです。
すべて汎用の電子部品で組み上げるため、コスパが良く、車の配線図を理解するスキルと電子工作のスキルがあれば基板から自作も可能です。
由元ガレージのビートにも使用しているSpeeduino ECUはショップにて販売してます。DIY派の方は是非ショップもご覧ください。質問等も大歓迎です。
ホンダビート用ECU
我々がレースで使用し実績があるホンダビート向けには、純正ECUと置き換えるだけで使用できるプラグインタイプのECUを用意しています。



