トルクと馬力の関係

トルクとは?馬力とは?という問いに答えているサイトはたくさんありますが、その関係性をイメージできるサイトはあまりない気がします。
なので、ちょっと説明します。

1馬力は1秒間に75kgの物を1m持ち上げること。これは基本知識。


この動作を、下図をイメージしつつ、持ち上げる力を回転力(トルク)に、移動距離を回転数に、置き換えます。

75kgの物を1m巻き上げるには、トルク75kgmで9.5493rpmの回転数が必要です。

右は、一般的は車の数値をイメージするために記載しましたが10kgを6000rpmで巻き上げると、628mも持ち上がり83馬力になります。
(1秒に628mも!?ですが、あくまでエンジンに半径1mの円盤を付けた際の話。車の速度は減速ギヤで減速されます)

馬力は、一定の時間内の力✕移動距離ですので、トルク✕回転数✕係数で表せます。(回転数の中に1分あたりの時間要素を含んでいます)


係数は単位換算用で、75kgm✕9.5493rpmが1馬力ですから、トルク✕回転数を75✕9.5493≒716.2で割ってあげれば簡単に算出できます。

つまり、馬力=トルク✕回転数÷716.2 です。

いくつか例を挙げると
 乗用車のエンジン → トルク 15kgmを6000rpmで発生、15×6000÷716.2 ≒ 126馬力
 スポーツカーのエンジン:トルク 30kgmを6000rpmで発生、30×6000÷716.2 ≒ 251馬力
 4トントラックのエンジン(ディーゼル):トルク 60kgmを3000rpmで発生、60✕3000÷716.2 ≒ 251馬力
という結果になります。
 
 昔のF1が、1.5Lターボごときのエンジンで予選の際に1500馬力近く出ており、
リッター1000馬力も!( ゚Д゚)と驚いていましたが、
20000rpmあたりで、ターボでブースト4気圧くらいかけてトルクを上げていたとのことなので、
 トルク 50kgmを20000rpm、→ 50✕20000÷716.2 ≒ 1400馬力
くらいの数値になるのではないかと思います。
このように、現実的な数値でイメージをすることができます。

因みにノーマルビートは
  5.7kgmを8100rpmで発生、5.7✕8100÷716.2 ≒ 64馬力
です。
(下図と合ってるでしょ?)


 もう一つ、覚えておくと便利なネタ。
 単位換算用の係数が716.2なので、7162rpmで発生したトルクの10倍が馬力になります。
 これを覚えておくと、計算が楽になり、トルクと回転数を見ただけで「出力はこれくらい出るかなぁ」というイメージができます。
 
 例えば、エンジンの設計やチューニングを進める際、必要な出力を達成するための排気量、ブースト圧、回転数を検討するのに有効です。
 
 7162rpmの時のトルクが10kgmだとすると、10✕7162÷716.2で、馬力は100馬力(トルク10kgmの10倍)
 上のビートの図でも、7162rpmの全開は、トルク6kg・mくらいなので、馬力はトルクの10倍の値、60馬力くらいになってますね。
 3581rpm付近でトルク10kgmなら5倍で50馬力、 
 14324rpm付近でトルク10kgmなら20倍で200馬力
 昔のF1エンジンのイメージの21486rpm付近であればトルク50kgmの30倍で1500馬力
になります。

こうして考えると、高回転でのトルクアップ(≒ブーストアップ)が馬力アップにどれだけ有効か分かりますね。

 良かったら使ってみてください。